DCC/DC自動切り替えアダプタ
2016.9.19
鉄道模型にはDCC(デジタル)方式とDC(アナログ)方式の二つの制御方式があります。DCC(デジタル)化するためにはDCCデコー ダを取り付ける必要があります。一旦DCCデコーダを取り付けると、DCパワーパックで運転をする場合は、DCCデコーダのアナログモードで 走らせる事はできますが、低速走行の不安定性が残るなど、満足な走行性能は望めませんでした。またアナログモードの不安定性を嫌って、両方の 制御方式を1つの車両で両立させたいがために、デコーダを外したりする事もありますが、そのために都度ボディを開けてデコーダを外したり、付 けたり、配線のやり直しを行ったりする手間がかかります。他にはDCCデコーダを外さなくても済む様に、デップスイッチなどのコネクタを介し て手動で回路を切り替える事例など、これまでさまざまな工夫を施して両方の制御方式に対応させてはいましたがどれも非常に不便なことでし た。
そこで今回上記の様な不便な点を解消するためにDCC/DC自動切り替えアダプタを開発しました。このアダプタをDCCデコーダと車両のモーター(ま たはライト)端子の間に挟み込む様な回路構成で接続する事によって、DCC/DCの両方の制御方式をDCC/DC自動切り替えアダプタが自動で認識し切り 替えることが可能になり、これまでの様な二つの制御方式に対応させるための加工や工夫をしたりする必要が一切無く、完全ハイブリットな車両と して走らせる事ができる様になります。
※DCC/DC自動切り替えアダプタそのものにはDCCデコーダとしての機能はありません。そのためDCC/DCモードで運転をする場合は 他のDCCデコーダと組み合わせて使用することを前提にしたアダブターです。但し、DCモードに限定した場合に限り、DCC/DC自動切り替えアダプタの みの接続でDC運転を行う事ができます。
レールから供給された信号が、 DCC/DCどちらかに より、モータへの電力供給を、DCの場合はレールから直接、DCCの場合はデコーダ出力に自動で切り替えます。
判別にはDCCの信号が交流であることを利用し、交流の2倍の電圧を出力することができる倍電圧整流回路という回路を使用します。
図 1 半波整流回路
図2 倍電圧整流回路
倍電圧整流回路では、2つのコンデンサに電圧が正の周期、負の周期で電気が充電されます。充電されるコンデンサが直列なことか ら、出力として2 倍の電圧を得ることができます。つまり、DCCの時には、レールからの電圧の約2倍の電圧を得ることになります。(ダイオードでの電圧降下が1V程度ある た め、DCCの電圧が12Vの場合、V1,V2が約11V、出力V1+V2は約22V) 。DC時は入力電圧(11V程度)になります。
この倍電圧整流回路の出力をリレーに接続することで、電圧が高いときにはリレーを動作させデコーダからの電気をモータへ、電圧が低いときに はリレーが動作せ ず、その場合レールからの電気を直接モータへ、と回路を構成すれば、自動で経路を切り替えることができるようになります。
回路にすると以下のようになります。
図 3 回路図
Optionとなっている所は、電圧によりLEDを点灯させてどちらの電圧がかかっているかわかるようにするものです。
DC:赤LED
DCC:赤、青LED
この部分は無くても回路は動作しますが、動作状態がわかり、意外と重宝します。
DCC時の青LED点灯については、抵抗分圧により、青LED(Vf=3V程度)の両端にかかる電圧が16V以上でほぼVfとなりLEDが 点灯する様に抵抗 R3,R4,R5を設定しています。
小型化の為、以下のようにチップ部品を多用しています。リレーには、2c構成のOMRON G6K-2P 12Vを使用します。
図 4部品表
オプションのLEDランドあり(13.3mm×33.6mm)
図 5 基板パターン
図 6 実装後の写真 (表) 実装後の写真 (裏)
左側上2ピン:レールからの線を接続
左側下2ピン:モーターへ接続
右側上2ピン:デコーダのRAILINへ接続
右側下2ピン:デコーダのモーター出力を接続
■ DCC/DC自動切り替えアダプタツイン版回路図(開発中)
■事 例
・Endless trail(MECY様の適用事例のブログ)
以上